粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

集塵装置

dust collector

 ガス中に含まれるダストミストなどを分離捕集する装置で,これに必要な前処理および付帯設備を含めたシステムの総称。集塵装置の最も重要な性能はダストの捕集性能であり,処理可能風量と操作時の圧力損失は捕集性能についで重要な性能である。集塵装置をその基本となる集塵の作用力によって分ければ次のように分類できる(カッコ内は捕集可能な粒子の大略の大きさを示す)。

  1. 重力集塵装置(> 100 µm):重力によって自然沈降する粒子を分離・捕集する装置。ごく大きな粒子にしか有効でなく,予備集塵に使われるにすぎない。
  2. 慣性集塵装置(> 10 µm):気流の急激な方向変換によりその中に含まれる粒子の慣性力を利用して分離捕集する装置。
  3. 遠心力集塵装置(> 5 µm):気流に旋回運動を与え粒子の遠心力によって気体中から分離捕集する装置で,その代表的なものはサイクロンである。
  4. 洗浄集塵装置(> 0.2 µm): 水または液体を主たる捕集媒体として,粒子を液中に捕集する装置で,スクラバーとも呼ばれる。
  5. ろ過集塵装置(濾過集塵装置)(> 0.1 µm):代表的なバグフィルターろ布によって粒子をろ過捕集し,更に堆積したダスト層自体が粒子を捕集することで高い集塵率が得られる。そのほか,繊維充塡層フィルター,砂のような粒状物による充塡層移動層フィルターもある。
  6. 電気集塵装置(> 0.1 µm):コロナ放電によって荷電された粒子を電界中で集塵電極に捕集する装置。圧力損失が小さいので大風量用集塵装置として広く使用されている。バグフィルターに匹敵する高い集塵率をもつ。
 各集塵装置にはそれぞれの特徴があり,捕集性能を高め,経済的に運転するため複数の装置を直列接続して使用することがある。すなわち,前置集塵装置(プレダスター)でダスト濃度を下げたり粗粒を除いて後続の集塵機の負荷を軽減し性能の向上が図られる。集塵装置には高捕集性能を維持する最適の気流速度があり,一方で,圧力損失に関連して経済上の最適の気流速度が存在するので,両者を勘案して実用速度を選定する必要がある。また装置の固定費,運転費のほか保守費も耐久性に関連して重要である。さらに捕集したダストの払い落としや排出,運搬,処理も集塵操作と併行して十分考慮しておかなければならない。

→ 集塵

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/17

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