粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

錠剤,タブレット

tablet

 錠剤には,粉体を臼中に充塡して,上・下杵で圧縮して 5 ~ 20 mm の大きさに成形した圧縮錠剤(compressed tablet)と,湿らせた粉体を型に入れて成形してから乾燥させた湿製錠剤(molded tablet)がある。今日,医薬でー般に用いられるのは前者であり,主要剤形の一つである。

 圧縮錠剤は,臼や杵面の形状を変えて,目的により大きさ,形状,構造の異なる種々のものが製造される。製法には,原料粉体を混合してそのまま圧縮する直接打錠法,あらかじめ造粒した添加剤に主薬を混合して圧縮するセミ直打法,乾式で造粒してから造粒物を圧縮する乾式顆粒圧縮法,湿式で製した乾燥造粒物を圧縮する湿式顆粒圧縮法がある。いずれも高速で,粉体の臼中への定量充塡,圧縮成形成形体の臼からの放出を行うため,粉体の流動性,圧縮性,粘弾性を適切に調製する必要があり,流動化助剤賦形剤結合剤滑沢剤などの添加剤の使用および適切な選定が重要になる。錠剤が水中で速やかに崩壊することが要求される場合には崩壊剤を添加する。一方,湿製錠剤は,久しく市場からは消えていたが,近年,口腔内速崩壊錠の製造に使われはじめた。湿った粉体を圧縮成形する錠剤機も開発されている。

 錠剤は適用方法により,

  1. 内服用錠剤(速放性錠剤,徐放性錠剤,そしゃく錠,発泡錠),
  2. 口腔用錠剤(トローチ錠,バッカル錠,舌下錠),
  3. 非経口用錠剤(注射用錠剤,埋込用錠剤),
  4. 外用錠剤(膣用錠剤)
に分けられる。また,コーティングの種類により,
  1. 糖衣錠,
  2. フィルムコ ーティング錠,
  3. 腸溶性コーティング錠,
  4. 有核錠(圧縮コーティング錠),
  5. 多層錠
に分類される。

→ 錠剤機流動化助剤賦形剤結合剤滑沢剤崩壊剤有核錠多層錠

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/12

【広告】