粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

結晶核

crystal nucleus

 過飽和溶液(または過冷却融液,以下同様)内で安定に存在し結晶構造をもつ微細な粒子。過飽和溶液から自然に発生する核を一次核と呼び,過飽和溶液中に存在する結晶粒子が原因となって発生する結晶核を二次核と呼んで区別している。また,過飽和溶液内で新たな結晶粒子数が生まれる現象を核化または核発生または核生成(いずれも nucleation)と呼び,それぞれの場合を一次核発生または二次核発生と呼んでいる。ゴミなどを含まない溶液からの均一一次核化で生じる一次核は臨界核以上の大きさで,これは過飽和度の関数であるが,目安としては nm のオーダーである。また,溶液内の異物(ゴミなど)によって生じる核化を不均一一次核化と呼び,低い過飽和度でも生じやすい。これに対して,二次核は結晶粒子と攪拌翼との衝突によって結晶の一部がはく離して新たな結晶粒子の核となる現象や,結晶粒子の表面に作用するせん断力(剪断力)によって結晶化しつつある構造体が過飽和溶液本体に運ばれて新たな核になるもので,サブミクロンから数十ミクロンのオーダーの大きさであるといわれている。攪拌翼を有する装置や結晶粒子が懸濁している装置内での核発生はほとんどすべての場合に二次核発生現象であると考えられる。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/12

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