粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

圧力損失比

pressure drop ratio

 主として粉体の空気輸送で使われる用語である。粉体輸送時の圧力損失 $\varDelta P_{\mathrm{t}}$ と空気のみを同一流量で流したときの圧力損失 $\varDelta P_{\mathrm{a}}$ との比 $$ \alpha = \frac{\varDelta P_{\mathrm{t}}}{\varDelta P_{\mathrm{a}}} $$ で定義される。普通,$\alpha > 1$ であるが,粉末の低濃度輸送では $1$ 以下になる場合もある。粉体輸送時の空気の圧力損失は必ずしも $\varDelta P_{\mathrm{a}}$ と同じとはいえないが, $\varDelta P_{\mathrm{t}} = \varDelta P_{\mathrm{s}}+\varDelta P_{\mathrm{a}}$ とおき, $\varDelta P_{\mathrm{s}}$ を付加圧力損失という。よって,$\alpha = 1+\varDelta P_{\mathrm{s}}/\varDelta P_{\mathrm{a}}$ である。$m$ を粉体と空気の質量流量比(混合比)とすれば,一般に $\alpha = 1+f(m)$ と表わされ,$f(m)$ は粉体や管直径 $d$,空気速度 $U$ などに関係する。直線管路に対する $\alpha$ は $L$ を管長とし, $$ \varDelta P_{\mathrm{s}} = m \lambda_{\mathrm{s}} \left( \frac{L}{d} \right) \left( \frac{\rho U^{2}}{2} \right) $$ とおけば, $$ f(m) = m\frac{\lambda_{\mathrm{s}}}{\lambda_{\mathrm{a}}} $$ となる。$\lambda_{\mathrm{a}}$ は空気の管摩擦係数である。この場合,$U$ が大きくなると $f(m)$ は $m$ にほば比例し,$\lambda_{\mathrm{s}}/\lambda_{\mathrm{a}}$ は小さくなる。局所損失に対しても,$\xi_{\mathrm{a}}$ を空気の局所損失係数として $$ \varDelta P_{\mathrm{s}} = m \xi_{\mathrm{s}} \left( \frac{\rho U^{2}}{2} \right) $$ とおけば, $$ \alpha = 1+m \frac{\xi_{\mathrm{s}}}{\xi_{\mathrm{a}}} $$ となる。

→ 付加圧力損失

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/5/27

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