粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

強磁性体

ferromagnetic substance

 強磁性体とは,磁性原子の磁気モーメントが,正の交換相互作用によって平行に整列し自発磁化をもつものをいう。すなわち,外部から磁界を加えなくても,磁気モーメントが存在する物質であり,磁場を加えない状態では,静磁エネルギーを最少にするよう磁区を形成している。すべての原子の磁気モーメントが平行に配列しているフェロ磁性体,異なる大きさの原子磁気モーメントが反平行に配列し自発磁化が生じるフェリ磁性体など,磁性原子の磁気モーメントの配列の仕方により大別される。これらの物質では,比較的小さな磁界で大きな磁化が得られ,また容易に飽和する。自発磁化の大きさは温度に依存し,通常,温度が高くなるにつれて減少し,キュリー温度(キュリー点)でゼロとなる。それより高い温度では常磁性を示し,磁化率はキュリー・ワイスの法則に従って変化するようになる。強磁性体は,その性質により,永久磁石,高透磁率材料,磁気記録材料など,多くの分野で使用されている。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/8/24

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