粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

流動化

fluidization

 鉛直壁を有する容器内の粒子層に流体を下方より上向きに流すと,粒子層には上向きに流体抗力が作用する。流体の流速を増大させると,抗力も増大し,ある流速で抗力と下向きに作用する重力と釣り合って,粒子層は浮遊状態になる。この状態を流動化状態(単に流動化ともいう)といい,このときの流速を流動化開始速度(または流動化開始流速)という。層断面積当たりの抗力は流体の圧力損失 $\varDelta p$ と等しいので,圧力損失と層断面積当たりの重力との釣り合いより流動化開始速度を求めることができる。すなわち,$\varDelta p$ に対して次式のエルガン式を用いると,以下となる。

$$ \frac{\varDelta p}{L_{\mathrm{c}}} = \frac{1-\varepsilon}{\phi_{\mathrm{p}}D_{\mathrm{p}}\varepsilon^{3}}\cdot \frac{150(1-\varepsilon)\mu_{\mathrm{f}}u_{0}}{\phi_{\mathrm{p}}D_{\mathrm{p}}} + 1.75 \rho_{\mathrm{f}}{u_{0}}^{2} $$
 粒子層の受ける層断面積当たりの重力は, $$ \frac{F_{\mathrm{g}}}{A_{\mathrm{t}}L_{\mathrm{c}}} = (\rho_{\mathrm{p}}-\rho_{\mathrm{f}})(1-\varepsilon)g $$ で与えられるから,両式を等値することによって,流動化開始速度 $u_{\mathrm{mf}}$ が次のように求められる。
$$ \frac{1.75}{\phi_{\mathrm{p}}{\varepsilon_{\mathrm{mf}}}^{3}}{Re_{\mathrm{mf}}}^{2}+\frac{150(1-\varepsilon_{\mathrm{mf}})}{{\phi_{\mathrm{p}}}^{2}{\varepsilon_{\mathrm{mr}}}^{3}}Re_{\mathrm{mf}}=Ar $$
 ここで,$\varepsilon_{\mathrm{mf}}$ は流動化開始時の層の空隙率である。流動化開始時の粒子レイノルズ数 $Re_{\mathrm{mf}}$ ,およびアルキメデス数 $Ar$ はそれぞれ次式で定義される。 \begin{align} & Re_{\mathrm{mf}} = \frac{D_{\mathrm{p}}\rho_{\mathrm{f}}u_{\mathrm{mf}}}{\mu_{\mathrm{f}}} \\[7px] & Ar = \frac{{D_{\mathrm{p}}}^{3}\rho_{\mathrm{f}}(\rho_{\mathrm{p}}-\rho_{\mathrm{f}})g}{{\mu_{\mathrm{f}}}^{2}} \end{align}  $Re_{\mathrm{mf}}$ 推算式としては,$\phi_{\mathrm{p}}$ と $\varepsilon_{\mathrm{mf}}$ との実験的関係を用いて提出された,以下の式が広く採用されている。 $$ Re_{\mathrm{mf}} = \sqrt{(33.7)^{2}+0.0408Ar}-33.7 $$
→  流動層

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/22

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