粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

粒界

grain boundary

 金属やセラミックスのほとんどは多数の微結晶から構成された材料,すなわち多結晶体であり,粒界とはそれら微結晶間の界面である。一般に粒界中の原子あるいはイオンの配列は,結晶中の整然とした規則的なものとは異なり,それらの化学的結合状態も一般に結晶内におけるものとは違っている。したがって,粒界のもつ諸性質,結晶自体がもつものとは化学的,電子的,機械的にしばしば著しく異なる。たとえば粒界は,転位や磁壁の移動を抑制し,塑性変形や磁性に影響する。また界面準位を形成し半導性を著しく変える。粒界には粒界エネルギーが付随し,多結晶体は単結晶より若干高いエネルギーをもつ。多結晶体中の微結晶は,高温で物質移動が可能な条件下で成長(粒成長)するが,これは粒界面積を減らして,全粒界エネルギーを低下させるためである。粒界の乱れた原子配列中には,母相中とは違う寸法の原子的空間が存在し,種々の寸法の不純物が濃縮される傾向がある。特殊な粒界には,特定の結晶方位関係をもつ微結晶間につくられる整合粒界や,傾角粒界ならびにねじれ粒界がある。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/8/20

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