静電フィルターの一状態で，ガラス繊維や合成繊維など各種の誘電体繊維を用いた繊維充塡層フィルターにおいて，充塡層前後に交流または直流の電圧を印加すると，層厚さ方向に不均一な電界が生じ，繊維が分極するとともに，層内に入った粒子も分極し，両者の間に静電分極力（gradient force）が働き，粒子は繊維表面上へ捕集される。このような，静電気力によって気体中の粒子を捕集するフィルターのことを誘電繊維層フィルターという。粒子をあらかじめコロナ放電などで帯電させておくと，粒子と繊維との間のクーロン力が加わり，捕集効率はいっそう高くなる。ろ材（濾材）には，誘電率の高いガラス繊維が多く用いられるが，その中へ合成繊維などの低誘電率ろ材を若干混入すると，集塵性能はより向上するという。外部電界は，通常 3 ～ 4 kV cm^-1 程度である。

→　繊維層フィルター， 静電フィルター