粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

有害物質

toxic substance

 化学物質の有害性とは,生体に対して中毒,アレルギー,がんなどの健康障害を生ずるおそれのある性質をいい,ガス,蒸気,粉塵を吸入する経気道曝露,皮膚に接触することにより吸収される経皮曝露,有害物に汚染されたものを食べるなどの経口曝露の経路がある。
 化学物質による健康障害は,視覚,聴覚など感覚的にその危険の有無を判断することが困難であること,また同じ肺への障害であっても,アンモニアの大量曝露のようにきわめて短時間に機能障害を生じるものから,石綿によるがんのように曝露後約 20 年以上経過して発症する遅発性のものまで,様々なものがあり,化学物質による中毒などの発生は依然として後を絶たない状況にある。このため化学物質の有害性を的確に把握し,それに基づいて疾病の適切な予防措置をとるため,労働安全衛生法では,化学物質の有害性調査制度が定められている。特に労働者に健康障害を発生させるおそれの大きいものについては,製造,輸入,譲渡,提供,使用が禁止されているもの(ベンジジン,β—ナフチルアミンなど),製造に際し労働大臣の許可を受けなければならないもの(ジクロルベンジジン,PCB,ジアニシジンなど),そのほか製造・取扱い上の管理が必要なものの三つに分けて規制されている。すなわち,それぞれの物質の有害性,使用状況にあわせて密閉設備,局所排気装置の設置,保護具の使用,健康診断の実施,有害性の表示などの講ずべき措置を定め,化学物質の管理に万全を期すよう求められている。
 なお,有害物質の許容濃度については,日本産業衛生学会,米国産業衛生専門官会議(American Conference of Governmental Industrial Hygienists: ACGIH)などで示している。

→ 許容濃度特定物質

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/7

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