粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

ミンドリンの理論

Mindlin's theory

 球形粒子が,弾性変形をともなった状態で接触しているときの力学的な関係を説明する理論である。ヘルツの理論が粒子の圧縮と変形を論ずるのに対し,ミンドリンの理論では圧縮に加えて接線方向に力が作用する場合について取り扱う。接触面内で全く滑りがないと考えると,接触面の端でせん断応力(剪断応力)が大きくなりすぎるという理論的な問題が生じるため,環状に滑り部を設け,そこではせん断応力が垂直応力に比例するとして接触面内の応力分布を解析している。接触面の中心部には接線方向における相対的なずれはないが,接触面から離れたところの変形量は接線方向と法線方向の二つの力によって決まる。ただし,力を加えていく過程と,その力を取り除く過程では変形の状態が異なるので,ヒステリシスによるエネルギー損失が生じる。なお,粒子シミュレーション(離散要素法)において,静止摩擦力を表現するために,ミンドリンの理論に基づく力を導入する方法が試みられている。

→ ヘルツの理論

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/12

【広告】