粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

マグネタイト

magnetite

 別名四三酸化鉄。俗に黒色酸化鉄(鉄黒)とも呼ばれ,天然には磁鉄鉱として産出される。立方晶系に属し,格子定数は 8.394 Å。119 K までは逆スピネル型構造をとるが,それ以下の温度では斜方晶系(a 5.91 Å,b 5.95 Å,c 8.39 Å)となる。化学式は Fe3O4 である。フェリ磁性体で,キュリー温度は 575 ℃ であり,電気伝導度は他のフェライトに比べて大きい。融点 1538 ℃,比重 5.2,水に不溶。空気中で熱すると,マグヘマイト(γ-Fe3O4)を経てヘマタイト(α-Fe3O4)に変態する。水素とは 350 ℃ 以上で反応して還元され鉄となる。熱塩酸に溶ける。
 工業的には,主に第一鉄塩水溶液を水酸化アルカリ溶液と混合し,50 ℃ 以上の温度で空気酸化する方法や,ヘマタイトを還元することによって得られる。黒色顔料,電子写真用のトナー材,各種磁気材料,磁性流体,電極,アンモニア合成用触媒などに用いられる。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/16

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