粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

浮選剤

flotation reagent

 浮選の条件は,

  1. 対象となる鉱物表面の性質を疎水化し,気泡への付着性を高める,
  2. 安定な気泡を多数液中に分散させる,
  3. 気泡に鉱物粒子を付着させ,浮上分離する,
ことにある。こうしたプロセスを効果的に行うために,鉱物粒子表面や分散液の界面化学的特性を制御する必要がある。そのために添加する薬剤を浮選剤という。
 浮選剤はその機能に従って,
  1. 捕集剤
  2. 起泡剤
  3. 抑制剤
  4. 活性剤
に分かれる。捕集剤は,目的鉱物の表面に吸着し,表面を疎水化する薬品である。起泡剤は,パルプ中に気泡を多数分散させ,パルプ表面の泡沫層を安定化するために添加するもので,界面活性が強く捕集性がなく,粒子と反応しないことが必要である。抑制剤は,鉱石に含まれる二種以上の有用鉱物を別々に回収するため,鉱物表面を親水化して浮選性を制御するために添加される。活性剤は,元来浮選性の低い粒子表面や抑制剤により浮選性が抑制された粒子表面に作用して,捕集性や浮選性を高めるために用いられる。これらの分類は一定ではなく,特定の鉱物には捕集剤として機能しても,ほかに対しては起泡剤として作用する場合が多い。このほか,pH 調整や粒子の分散を目的とした薬剤も使用される。

→ 捕集剤

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/5

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