粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

非晶質

amorphous

 原子や分子の周期的配列が失われ,結晶構造(結晶格子)が認められない固体の状態。無定形ともいう。そのため,非晶質固体の X 線回折像は,ピークが現われないハローパターンになる。非晶質固体は,ガラス転移温度以下のガラス状態または過冷液体状態にある。結晶に比べ高いエネルギー状態にあり,一般に溶解度が高い。そのため,非晶質化は難溶性物質の溶解性改善法として利用される。しかし,保存中に安定な結晶へ転移するので注意が必要である。有機化合物の多くは,溶液単独または高分子との混合溶液を噴霧乾燥凍結乾燥すると非晶質固体になりやすい。結晶固体単独または結晶セルロースなどとの混合粉砕によっても非晶質化する場合もある。化合物が,高分子などの第二成分中に分子(非晶質)状態で分散した固体を,固体分散体という。難溶性薬物の製剤化法として利用されている。

→ 結晶多形

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/20

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