粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

光散乱式粒子径測定装置,光散乱式粒度測定装置

light scattering particle size analyzer

 微小粒子に光が当たって生じる光散乱現象を利用して粒子の大きさ,さらには粒子径分布を測定する装置の総称である。光の散乱現象は,粒子の大きさ,屈折率,入射光の波長,散乱角度などによって複雑に変化するので,対象粒子の大きさ,粒子濃度によって,適用される測定原理が大きく異なる。粒子が球形でその大きさが光の波長と同程度あるいはそれ以下の場合,光散乱現象はローレンツ・ミーの散乱理論に従う。粒子径が光の波長より大きくなると,前方小角領域の散乱はフラウンホーファーの回折理論で近似できる。単一の光波長を発生できるレーザー光源が簡便に使用できるようになったため,大半の市販の装置はレーザーを光源とし,0.1 µm から数 mm にわたる幅広い粒子径分布を測定できるようになった。
 粒子径分布を求める方法には,一個一個の粒子からの散乱光を光電子増倍管で検出・増幅し,パルス高さやパルス幅から粒子径を求める方法と,粒子群全体からの散乱光強度の角度分布から粒子径分布の各分画からの寄与を逆演算して求める方法がある。前者に属する方法には,遮光法,time-of-flight 法,レーザードップラー法,光散乱粒子カウンターなどがある。後者の代表的な方法にはレーザー回折・散乱法がある。なお光透過法光子相関法動的光散乱法)も原理的に光散乱式粒子径測定装置に属する。

→ レーザー回折・散乱法ミー散乱フラウンホーファー回折(粒子径測定)

執筆者:粉体工学用語辞典
編集:松山達(創価大学)
更新日:2021/9/1

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