粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

ぬれ,濡れ

wetting

 固体が濡れるということは,気体と界面をなしていた固体の表面に,液体分子が付着し,液体と固体の界面に置き換わることである。固体表面の濡れやすさは,液体分子と固体表面の相互作用の強さに依存し,固体表面の濡れは,次の三つの型に分類できる。

  1. 拡張濡れ:気相中の固体表面において,液体が自然に広がり薄膜となる。
  2. 付着濡れ:気相中の固体表面に,液体が液滴として付着する。
  3. 浸漬濡れ:固体が液体中に没し,表面全体が液体におおわれる。
 固体—気体間,固体—液体間,および液体—気体間の界面張力をそれぞれ $\sigma_{\mathrm{s-g}}$,$\sigma_{\mathrm{s-\ell}}$,および $\sigma_{\mathrm{\ell-g}}$ とすると,固体表面が液体の薄膜によりおおわれた場合の自由エネルギーの減少量は,次式で与えられる。実用的には,気体は液体の飽和蒸気である場合が多い。 $$ S = \sigma_{\mathrm{s-g}} - (\sigma_{\mathrm{s-\ell}}+\sigma_{\mathrm{\ell-g}}) $$  ここで,$S$ は拡張係数と呼ばれ,$S\gt 0$ の場合,固体表面が液体でおおわれたほうが自由エネルギーの低い状態となり,拡張濡れが起きる。逆に,$S\lt 0$ の場合には,固体表面は液体をはじいたほうが自由エネルギーの低い状態となり,付着濡れが起きる。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/12

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