粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

超臨界乾燥法

drying with supercritical fluid

 乾燥は一般に気相中で行われるが,これを超臨界流体中で行う方法である。通常の乾燥では,湿り材料内空隙に気液界面があり,気相は雰囲気圧だが液相は毛管圧である。この圧力差による毛管応力に材料固体の強度が耐えられない場合,乾燥とともに材料には多くの微細なクラックが生じ収縮する。超臨界乾燥はこの欠点を克服しようとして考えられた方法である。凍結乾燥と類似した,クラックや収縮のない乾き多孔体が得られるので,医薬や食品分野での応用研究が盛んである。流体としては,水よりゆるやかな条件で超臨界状態となる二酸化炭素が用いられることが多く,この場合,湿り材料内の水は,あらかじめ二酸化炭素との相溶性に優れたエタノールやメタノールで置換される。また流体組成の変化する乾燥中でも超臨界状態を保つ条件下で操作しなければならない。

→  毛管圧力凍結乾燥

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/08/02

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