粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

焼結

sintering

 金属やセラミックス成形体を熱処理し,構成粒子の融点以下の温度で焼き固める操作。粒子集合体は熱力学的には非平衡状態にあり,加熱により,全表面エネルギーが減少する方向に物質移動が起こり,粒子間の結合が生じる。物質移動の機構は,表面拡散,粒界拡散,体積拡散,蒸発─凝縮,粘性流動,塑性流動などによる。この中で,表面拡散と蒸発─凝縮機構による場合は,粒子中心間距離の変化はなく,従って成形体の寸法収縮はない。一般に物質移動には複数の機構が絡み,加熱によって生成する微量の液相も強く関与する。焼結段階は,大きく初期,中期,後期に分けられる。初期には粒子間のネックの成長と粒子の再配列,中期以降には著しい粒成長がはじまり,開気孔と閉気孔が共存するが,特に閉気孔のみが存在する状態になった段階を後期と区別する。中期と後期の区別は気孔率で 5 ~ 10 % が目安となる。焼結後期における閉気孔の収縮は固─気界面と固─固界面(粒界)の張力と閉気孔への粒子配位数によって異なり,条件によっては気孔の成長が起こる出発成形体から最終焼結体に至るまでの微構造の変化は,成形体の粒子充塡状態にも強く影響され,実際の気孔構造変化や粒成長挙動はきわめて複雑である。

→ 加圧焼結固相焼結液相焼結

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/12

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