粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

重力分離,重力沈降

gravitational separation

 粒子に作用する重力の作用によって,流体中に浮遊する固体粒子あるいは液滴粒子を分離捕集することである。重力による粒子の沈降は,重力と流体抗力および浮力が釣り合う一定の終末沈降速度で進行する。分離のためのエネルギーを必要としないので,多量の液を処理する上・下水道の清澄装置(クラリファイヤー)や沈降濃縮装置(シックナー)などに利用されている。同一密度の粒子の大小の分離,あるいは同じ大きさの粒子の密度差による分離は,分級選鉱に広く使用されている。重力は質量に比例するので,分離すべき対象の質量差の小さい微粒子や密度差の少ない液中では困難であり,実用上気体中で重力分離が可能となるのは約 50 µm以上の粒子である。重力沈降を利用した粒子径分布測定器は,アンドレアゼンピペット沈降天秤などいくつかあるが,静止流体中の沈降に長時間を費やすなら数 µm の大きさまで測定可能である。

→ 重力集塵重力分級機

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/16

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