粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

充塡塔

packed tower

 塔内に充塡物を満たし,その表面を液が流下し,すき間をガスが通って気─液の接触を行わせる装置(洗浄集塵装置)で,主にガス吸収,蒸留,濃縮などの物質移動や熱移動に使用される化学装置である。ガス中に粉塵が含まれる場合,液面との接触で集塵されるので,微粒子をも含めたガス洗浄に有効である。また液を流さない乾式の充塡層集塵装置として用いられる。

 充塡物は,気─液の接触面積が大きく,圧力損失が小さく,かつ気─液に侵されない物質でつくられる。通常,液は上から流下させ,ガスは下から通す向流操作が多く,ガス流速を上げるとフラッディング(溢流)現象が生じ,圧力損失が急に大きくなり液も流下しなくなる。塔径を大きくすると液の分散が悪くならないよう,また塔高が高くなると液の流下が偏るので,全断面に液が分布されるように 2 段以上に分けて,その間で液の再分配をする必要がある。

 乾式の充塡層形式による集塵装置では,砂などの細かい充塡物によってダストを捕集するが,捕集ダストの除去は振動や逆送風による攪拌などが用いられる。しかし,充塡物が細かいと圧力損失が大きくなる欠点がある。そのほか,充塡物を流動させたり,移動させてダストの捕集が行われるが,これらは流動層移動層形式の集塵装置と呼ばれる。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/17

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