粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

射出成形

injection molding

 プラスチックの成形法セラミックス成形に適用したもので,セラミック粉体に射出に必要な数種の熱可塑性樹脂(または熱硬化性樹脂,ゴムなど)と滑剤可塑剤などの有機材料を加熱混合したあと,射出成形機によって金型内に流入して冷却(または加熱)固化させる成形法。非可塑性材料の成形に用いられ,一般に多量の有機材料を添加するため,有機物を熱分解揮発させる脱脂工程での亀裂の発生や変形防止に,長時間加熱を必要とする。また金型が高価であったり,金型設計が難しいなどの問題点がある。

 成形機にはプランジャー式とスクリューインライン式とがある。いずれの方式でも金型がセットされると,加熱シリンダー中で溶融された樹脂で擬可塑化された原料粉体が型に射出される。射出が完了するとプランジャーが後退してホッパーから新しい原料が供給され,その間に型の冷却と成形体の脱型が行われ,新しいサイクルに移る。ガスタービンの動翼,静翼,エンジン部品など精密な寸法精度が要求される材料の成形に利用され,量産も可能である。セラミックスの射出成形で可塑性を与えているものは焼成で除去される樹脂であり,良好な射出成形のためには,セラミック粉体との親和性を考慮した主剤の熱可塑性樹脂と滑剤,可塑剤などとの組み合わせの選択が重要である。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/18

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