粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

磁気吸引力

magnetic attractive force

 磁界に導かれた強磁性体物質や,一部の常磁性体物質が磁化されて,運動を起こすには,さらに磁界の勾配(gradient)が必要である。磁界の強さは,単位面積当たりの磁力線の数で,Tesla で表わされる。磁界の勾配とは,磁界の強さの変化あるいは集中の割合である。勾配のない,均一な磁界の強さをもつ磁界に磁性体粒子が入ると,粒子は磁力線に吸引されるが,磁極の方向へは吸引されない。磁力線が勾配をもって集中している磁界に導かれた磁性体粒子は,磁力線に吸引されるばかりではなく,磁束密度の高い領域へ移動するのである。磁界の強さが粒子を補捉し,磁界の勾配が粒子を移動させるのである。粒子に働く吸引力は,磁界の強さと磁界の勾配の積であり,一般的には,次の式で表わすことができる。 $$ F_{\mathrm{m}} = m\chi H\frac{\mathrm{d}H}{\mathrm{d}x}=M\frac{\mathrm{d}H}{\mathrm{d}x} $$ ここで,$F_{\mathrm{m}}$ は粒子に働く磁気吸引力,$(\mathrm{d}H/\mathrm{d}x)$ は磁界の勾配を表わす。また,$M$ は粒子に誘起される磁化の強さ,$m$ は粒子の体積,$\chi$ は物質の帯磁率,$H$ は磁界の強さである。粒子に働く磁気吸引力を最大にするためには,最大の磁界の強さと最大の磁界の勾配が得られなければならない。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/05/13

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