粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

JKR理論

JKR theory

 壁に付着した球形粒子の分離力(pull-off force)を接触部に生じた弾性変形を考慮して解析するための理論の一つであり,1971 年に Johnson,Kendall,Roberts によって提案された。球形粒子の圧縮弾性変形はヘルツの理論によって説明されているが,ヘルツの理論では付着力が考慮されていないため,外力がゼロあるいは逆向きに働くとき,粒子は束縛されることなく自由に分離できることになる。一方,JKR 理論では付着にともなう表面エネルギーを考慮するため,外力がゼロのときでも有限の接触半径で粒子は付着する。このとき,接触部の中央では反発力が,周縁部では引力が働いており,この状態から粒子を引き離す方向に徐々に力を加えていくと,分離に対抗する付着力も大きくなるが,接触半径が初期の 0.63 倍になったとき粒子は分離し,このときの力は弾性変形を考慮しない場合(すなわち,剛体球)の 3/4 に相当する。

→ ヘルツの理論DMT 理論

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/14

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