粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

顕微鏡電気泳動法

microelectrophoresis

  液中の帯電粒子の泳動速度,ゼータ電位の測定手法の一つで,簡便,高感度かつ少量の試料での測定が可能,などの特徴をもち,広く用いられている。平行平板セルまたは毛細管セル中にコロイド溶液を封入し,セル両端に電圧をかけると,セル壁面に対する媒体の電気浸透による栓流が生じる。セルは閉管であるので,逆方向に放物線状の圧力流れが生じ,この結果,セル中にはトータルで媒体の速度が 0 になる「定常レベル」と呼ばれる位置が存在する。定常レベルは,平板セル,毛細管セルの中心から,それぞれ, $$ \frac{\mathrm{(平板間距離)}}{2\sqrt{3}},\frac{\mathrm{(管径)}}{2\sqrt{2}} $$ の位置になる。
 この位置での粒子泳動速度は媒体の流れに影響されないので,これをゼータ電位に対する種々の理論式に代入することでゼータ電位が算出される。定常レベルでの測定は誤差を生じやすいため,すべての位置での見掛けの泳動速度を測る方法や,異径二重毛細管式セルを用いる測定法もある。本法は顕微鏡とストップウォッチにより測定可能な簡便な方法であるが,コンピュータ化され泳動速度分布が求められる装置も開発されている。

→ 電気泳動ゼータ電位電気浸透流ヒュッケルの理論式スモルコフスキーの理論式(ゼータ電位)

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/9/21

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