粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

吸着

adsorption

 気相あるいは液相中に存在している物質(吸着質)が,その相と接している界面に相の濃度と異なる濃度で存在している状態をいう。界面における濃度が,相の濃度より大きい場合は正吸着であり,逆に小さい場合は負吸着という。吸着状態は,その吸着機構によって,化学吸着と,物理吸着とに分類され,前者は化学結合に基づく吸着であり,後者は,ファンデルワールスカによる吸着である。化学吸着は,化学結合をともなう吸看であるため不可逆で,単分子の形成で終了するのに対し,物理吸着は可逆的で多分子層の吸着が起こる。吸着現象は,通常一定温度において気相や液相中の吸着質の圧力や濃度に対する界面での平衡吸着量で表わされ,吸着等温線,あるいは吸着等温式で表わされる。化学吸着現象はラングミュアー吸着等温式で表わされ,物理吸着現象,たとえば気—液界面における吸着現象は,ギブスの吸着式で,また固—気,固—液界面における吸着現象はそれぞれ BET 吸着等温式フロインドリッヒ吸着等温式などで表わされる。コロイド溶液におけるイオンや界面活性剤,高分子などの吸着,界面動電現象,浄水の脱臭,製造工程における吸着,濃縮,分離,除去,脱色など様々な現象や応用は吸着現象に基づいたものである。

→ BET法(ベット法)

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/8/21

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