粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

石綿

asbestos

 石綿は天然に産出する繊維状の無機ケイ酸塩鉱物の総称で,蛇紋石族(クリソタイル(Crysotile))と角閃石族(クロシドライト(Crocido-lite),アモサイト(Amosite),トレモライト(Tremolite),アンソフィライト(Anthophylite),アクチノライト(Actinolite))に大別できるが,クリソタイルが最も多く産出され,工業的にも使用量が多い。クリソタイルは,絹糸状の光沢のある白色の繊維である。その繊維は,長さが 1~750 mm にわたり,柔軟性に富み,耐アルカリ性があり,完全に解綿したものは肉眼で見ることが難しいほど細い。また,その強度は,張力で 30 000 kg cm-2 以上もあり鋼鉄より強い。石綿は古くから耐熱・保温材として使用され,近年パッキング材やプレーキライニングのほか,各種建材用にも利用されてきたが,健康影響を考慮してその需要も低減傾向にある。石綿の曝露によるじん肺症(塵肺症)が知られている,石綿症は悪性腫瘍,すなわち肺がんや悪性中皮腫との関係もあるとされている。石綿の安全な使用のため,石綿粉塵の許容濃度は,他の粉塵とは区別して厳しく規制されている。

→ 許容濃度

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/6/2

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