粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

圧縮

compression

 圧密(compaction)と同義で用いる場合もあるが,セラミック粉末成形では加圧下における粉末充塡層の体積減少を意味し,圧縮性(compressibility)はその圧力下でどこまで成形体密度が上昇できるかを示す指標として使用される。一方,圧密は金型成形で粉末充塡層をプレスする過程を意味して圧密変形(consolidation)や塑性変形(plastic deformation)を含み,圧密性(compactibility)はある成形体強度を達成するのに必要な最小加圧力に対して使用される。
 粉体の圧縮にはいろいろな方法があるが,通常ピストン圧縮静水圧圧縮がよく用いられる。粉体層を加圧した場合の圧縮機構は次の四つの過程が考えられる。(1) 粒子が相互に押し合い,加圧エネルギーの大半が粒子間の摩擦により失われる。(2) 粉体層内のプリッジがくずされて大きい粒子の間隙に小さい粒子が人り込み,粒子自体も圧力を受けて変形しはじめる。この過程では加圧エネルギーは粉体と器壁などの摩擦によって失われる。(3) 粒子表面の凸凹部が相互の摩擦や押し合いによってくずれ,またかみ合って粒子間に密な接触状態がつくられる。この過程における加圧エネルギーの損失は粒子の変形に費やされ,一部は内部の残留応力として蓄えられる。(4) 粉体の加工硬化が極限に達し,さらに圧力が加わると粒子は破壊して結晶が微細化する。この過程で加圧エネルギーは粒子の変形,破壊と微細粒子の圧密に消費される。

→ アイソスタティック成形粉末成形

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/5/26

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