粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

アスペクト比

aspect ratio

 アスペクト比は,粒子の長径(長軸径)$a$ と短径(短軸径)$b$ の比である。アスペクト比を $AR$ とするとき,$AR$ は, $$ AR = \frac{b}{a} \tag{1} $$ と定義すれば $0<AR≤1$ の範囲の, $$ AR = \frac{a}{b} \tag{2} $$ と定義すれば $1≤AR$ の範囲の値をとることになる。どちらの定義も広く用いられているが,最近では(1)の定義を用いることが推奨されつつある。

 長径(長軸径)と短径(短軸径)の測定法又は定義については,三軸径並びに定方向径(フェレー径;Feret diameter)も参照されたい。水平面上に粒子が安定に静止した状態で,

  1. この粒子に外接する最小の直方体で,一面はこの水平面と平行であるような直方体の,鉛直方向の辺の長さを厚み,他の二辺の長さをそれぞれ長軸径・短軸径とする。
  2. 鉛直方向に粒子投影像を撮り,投影像を投影像に接する2本のお互いに平行な直線で挟む。平行線の間隔が最も大きいときの間隔を長径,最も小さいときの間隔を短径とする。
 「水平面上に粒子が安定に静止した状態」というのはつまり,付着力の影響が小さい比較的粗大な粒子を水平面上に散布した状態,という「操作的定義」になっている。可視光領域の静止画像法による粒子径分布測定ではこの投影像を取得して解析するのであるから,これらの定義がこのような測定技術・測定法を背景として整備されていることを考えると理解し易い。
 長径・短径についての上の2つの定義は,長軸と短軸が直交している保証がないので微妙に異なる。後者の定義によればアスペクト比は最大フェレー径(定方向最大径)と最小フェレー径の比である。

→  形状指数均斉度三軸径定方向径

執筆者:松山達(創価大学)
更新日:2021/4/14

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